著名人対談

【AKB48楽曲の制作秘話】『成瀬英樹』ミリオンヒット作曲家が語る

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こんにちは。MusicViral代表で作曲家の片桐周太郎です。

僕がAKBグループを好きになったきっかけでもあり、憧れの作曲家の1人でもある『成瀬英樹』さんにインタビューをしてきました!

そこで今回は、シンガーソングライター・作詞作曲家『成瀬英樹さん』へのインタビューの模様をご紹介します。

成瀬英樹さんは、『BINGO!』や『君はメロディー』など、多くのAKB48楽曲を手掛けています。

前田敦子さんソロ活動の『君は僕だ』『タイムマシンなんていらない』など手掛けていることでも有名な作曲家の方ですね。

現在、シンガーソングライター・作詞作曲家として、楽曲制作・提供やライブ活動など多岐にわたって活動されています。

『作曲編曲の制作環境や楽曲制作秘話』『作曲家へ憧れ・目指す方に必要な要素』についてなど。

お話いただいた内容をバッチリご紹介していこうと思います!

Pops作家デビューカリキュラム始動!

「AKB作家が教える。一年間で有名作曲家事務所を目指すスパルタ予備校」

“既存曲を聴くだけ”で作曲が上達する「MusicViral独自の分析術」を伝授。

AKB48や欅坂46、乃木坂46を手がける片桐周太郎の完全ワンツーマンレッスン。

一年間で、有名作家事務所の所属を目指す事に特化したカリキュラムです。

まずは成瀬英樹さんのプロフィールをご紹介!

(左:成瀬英樹さん 右:片桐周太郎)

1992年「FOUR TRIPS」結成。
ヴォーカル&ギター担当。1997年TBS 系ドラマ「友達の恋人」(瀬戸朝香・桜井幸子 主演)の主題歌「WONDER」でメジャーデビュー。13万枚を超えるヒット。その後アルバム1枚、シングルを5枚発表し解散。2001年から作曲家を目指し楽曲コンペに参加。2006年、AAAの6thシングル「Shalala キボウの歌」で作曲家デビュー。オリコン20位。2007年、作曲したAKB48の4thシングル「BINGO!」がオリコン6位まで上がるスマッシュヒット。これ以降AKB48初期の代表曲「ひこうき雲」や前田敦子のシングル「君は僕だ」「タイムマシンなんていらない」(ともにオリコン2位)などを作曲編曲。2016年、AKB48の43枚目のシングル「君はメロディー」が130万枚超のミリオンセラー。オリコン1位を獲得。年間チャートでも2位を記録。年末のNHK紅白歌合戦でも印象的な場面で歌唱される。(※成瀬英樹オフィシャルウェブサイトより)成瀬英樹オフィシャルサイトはこちら
オフィシャルブログはこちら

バンドマンから職業作曲家へなるまでの道のり

バンドで夢のメジャーデビュー


(※写真はイメージです)

成瀬:90年代、僕はFOUR TRIPSというバンドで活動していました。ギターとボーカルと作曲を担当していました。

1997年にドラマの主題歌でメジャーデビューしたんですけど、2年間で契約終了しました。

もう30を過ぎていましたし、途方に暮れましたね。

ーーバンド時代は、10万枚超えのヒットを出していましたよね?

成瀬:そうですね。

でも多少注目されたのは、ドラマの主題歌になったデビュー曲だけです。

しかも、大きなドラマのタイアップということもあって、10万枚売れても「失敗」と言われました。まわりの方たちがすごくがっかりしていたのが忘れられません。

バンドは2001年頃に空中分解しました。

シンガーソングライター? 作曲家? 目指す道の選択!

成瀬:30過ぎて、レコード会社や事務所と契約がなくなって、真剣に「音楽の世界で生き残るにはどうすればいいか?」と考えました。

自分がシンガーソングライターとして矢面に立って戦うのは無理だな、と。そこの判断は冷静でしたね。

努力でなんとかなることと、圧倒的才能が必要なこと、があるんですよね。

そうこう考えているうちに、自分ができることは作曲しかない、と思ったんです。

作曲なら、少しずつ成長して行けば、数年あればなんとか形になるのではないか、と思ったんです。

作曲家事務所所属のためにやったこと

ーー作曲家事務所を選ぶときは、どのようにしたのでしょうか?

成瀬:当時『Musicman』という電話帳のような分厚い本に、音楽系の事務所の連絡先が載っていました。

そこに載っていた作家事務所全てにデモを送ったのですが、3社からしか返事が返ってきませんでした。

そのうち2社は断りの返事でしたね。

残りの1社が今もお仕事をしている事務所です。そこからコンペに参加する日々が始まりました。

といっても、僕はいわゆる「所属」はしたことはありません。基本的にずっとフリーの立場です。

作曲家を目指そうとしたとき、世はシンガーソングライター時代

成瀬:2002年頃からコンペ情報をもらえるようになりました。

しかし、当時はシンガーソングライター全盛で、職業作家の需要が今ほどはなかったんですね。

だからこそ逆に「これは狙い目なんじゃないか?」と思ったんです。

「シンガーソングライター全盛期の反動で、プロの歌謡曲を作る作家の力が必要にとされる時代が、近いうちに来るのではないか?」と信じて、

明確に作曲家を目指すようになりました。

僕の中では勝手に「歌謡曲の復権プロジェクト」と呼んでました。笑

孤軍奮闘!AKB48に出会うまでの長い道のり

(※写真はイメージです。)

最初に待っていたのは、先の見えない暗黒期

成瀬:事務所からコンペをもらって、参加する毎日が始まったんですけども。

3,4年ほどは曲を出してもキープすらなかったですね。

そんな中、なんとかモチベーションを保てたのは、作曲の技術が少しずつ上がっていることへの自信でした。

AKB48との出会い

成瀬:2006年にAAAの6thシングル「Shalala キボウの歌」が決まり、ようやく作曲家としてデビューしました。

とは言え、印税だけではなかなか食べて行けず、バイトしてましたよ。当時30代後半でしたが。笑

そんなある日、AKB48の存在を知りました。

「AKB48というアイドルグループが曲を集めているんだけど、何かない?」と言われて、

あるものをかき集めて10曲ほど出してみました。

すると、すぐに「BINGO!」が決まったんです。2007年でした。

『BINGO!』は売れると確信があった!

成瀬:『BINGO!』は最初は劇場公演曲でした。

秋元康さんが書かれた歌詞をネットで見て、これは人気が出るんじゃないかなと思いましたね。

劇場で評判になり、シングル発売されることになった時は嬉しかったですね。

PVを観て「これはいける!売れるぞ!よっしゃー!!」と思いました。こんなにキャッチーな曲だったのかと驚きましたね。

大ブレーク、とまではいかなかったですけれども。笑

ーー今に比べたらですよね!
当時のAKB48楽曲は売れた売れなかった関係なしに、AKB48初期を支えてきたと称されている名曲ですよ。
当時を知らないという方でも、特に『会いたかった』と『BINGO!』だけは知っているという方も多いです!

そしてAKB48が爆発的な大ヒット!

成瀬:AKB48が大ブレークしたのは2009年頃ですよね。

井上ヨシマサさん作曲の『大声ダイヤモンド』や『涙サプライズ』で、一気に火がついたと思います。

そして、シングル『RIVER』がオリコンで1位を獲得しました。僕が作曲した『ひこうき雲』もカップリングで収録されました。

ずっとライブの定番として、劇場で歌われていたこの曲を、ここでカップリングに使っていただけてラッキーだったなと思います。笑

楽曲制作秘話

『君は僕だ』は、iPadで作曲をして制作した


ーー前田敦子さんへの楽曲提供は、いつ頃だったんでしょうか?

成瀬:2012年、『君は僕だ』です。

ーー成瀬さんの『君は僕だ』を初めて聴いた時「なんて良いメロディーなんだ!」と、ものすごい衝撃を受けました!
難しいことはしていないように聴こえるのに、とても心に刺さる良い曲で、めちゃくちゃ分析しています!

成瀬:変な曲ですよね。笑

『君は僕だ』を作曲した時期が、ちょうどジブリ映画の『コクリコ坂から』のプロモーションイベントのお仕事でギタリストとして全国を回っていて、

コンペの締め切りに間に合わせるのが大変だったのを覚えています。

外出先で制作しなくてはいけなかったので、iPadを使って作業しました。

「C→E7のコードの流れにしてG#の音を使う」など意識しながら、iPadのアプリでピコピコ鳴らしながら直感的に制作していきました。

今思えば、時間に余裕がなかったからこそ『君は僕だ』のような、とても素直なメロディーが書けたのだと思いますね。笑

ーーフィーリングでつくったからこそ生まれた楽曲・メロディーだったんですね!

秋元康さんは、完璧な曲を選ばない!?

成瀬:実は僕が作ったデモ段階では『君は僕だ』も『タイムマシンなんていらない』も失敗作かな、と感じていました。

『君は僕だ』はとても変わった曲だし、『タイムマシンなんていらない』は当時、提出したのを引っ込めたいと考えるくらいでした。笑

採用が決まったときは、「他に良い曲あるだろうに、なんでこの曲!?」と思っていました。笑

でも、秋元さんの歌詞が入ることでマジックが起きて、めちゃくちゃ良い曲になったんですよね。

あらためて、秋元さんのすごさと『歌詞の大切さ』を実感しました。

ーー秋元さんマジックですね!

成瀬:もしかしたら「秋元さんは完璧な曲」を選ばないのかも、と仮説を立てたりしてみました。

うまく言えないんですが『秋元さんの歌詞が乗ることで良くなる曲』を選ばれるのかな、と思っています。

『タイムマシンなんていらない』の編曲秘話

ーープラグインや音源についても、ある種「完璧」である必要は無いと考えていますか?

成瀬:そうですね!

プラグイン音源は、僕は何でもいいんです。笑

アレンジが得意な作家に勝負を挑んでも敵わないんですよね。

だから僕の場合は、「勝てることをやろう!」と。アレンジを考える時間があれば、メロディと仮の歌詞を練り上げることに集中します。

なので、本当に毎回同じ音色、楽器構成で曲をつくっています。

アコギを2回弾いて、タンバリン振って、Logicの音源のオルガンとピアノとエレピと

『EZ DRUMMER』の打ち込みのプリセットをペーストする。毎回、この構成です。

ーー編曲まで担当されている『タイムマシンなんていらない』も同じように作られたんでしょうか?

成瀬:そうですね。

例えば『タイムマシンなんていらない』のドラム音色は『EZ DRUMMER』のプリセットをそのまま使っています。

他の音源は全てLogic内蔵のものです。

時間がなくて、過去最高にざっくりと作ったデモでしたが、採用の際に「アレンジはこのままでいきましょう」と言われて、

そのまま採用になりました!だからあの曲を聴いていただければ、僕のサウンドがすべてわかります。笑

ーーアコギ感や前田敦子さんとの相性など、世界観に合うプリセットだったのかもしれませんね!

AKB48ミリオンヒット『君はメロディー』の制作秘話


ーー紅白歌合戦でも歌われているミリオンヒットの名曲『君はメロディー』の秘話もあったりするでしょうか?

成瀬:実は、『君はメロディー』のAメロは提出直前で作り変えたんです。提出直前にワインを飲みながら曲を聴き直していたときに「Aメロがちがう!!」と思って、

急いで仮歌さんに「ごめん!Aメロだけ変える!」と連絡して歌い直してもらいました。

元々は8分音符をきざむメロディーだったのですが、スピード感が足りないな、と思い、

16分音符の刻みに変更して、『君はメロディー』が完成しました。

このときにAメロを変えていなかったら採用はなかったと思いますね。笑

ーー『君はメロディー』は、飲み会の席で成瀬さんが「来年は必ず、表題決める」と宣言してからの採用だったのを鮮明に覚えています!

成瀬:そうでしたね。

『君はメロディー』が決まる1年くらい前からずっと公言してましたね。うざかったでしょ。笑

人前で言った目標は、やる気に変わると思っていて。自分自身を鼓舞する意味でも口に出すようにしています。

みんなの前で発言したことで、それが作曲するエネルギーになっていったなと思います。

作曲家を目指すことについて

言葉の大切さ

ーーこれから作曲家を目指す方に伝えたいことなどありますか?

成瀬:最近、作曲家を目指す方やバンド活動をしている方からデモを渡される機会がよくあります。

『もしよかったら聴いてください』と渡してくれるのですが、

『これ聴いたら歴史変わりますよ!』くらい自信満々に渡して欲しいなと思います。

謙虚な人であることは大切だけど、自分の作品に対しては本気で自信を持って欲しい、と思います。

作曲家としての最終目標

ーー作曲家の最終目標・1番の喜びは『誰もが知っている曲』を書くことだと思っているのですが。
成瀬さんは、どう考えているのでしょうか?

成瀬:僕は次の時代のスタンダード、例えば「上を向いて歩こう」のようなを書くのが、究極の目標です。

これからも本気でトライしますよ。

作曲家を目指す方は覚えておいて欲しいのですが、どのコンペでも、たくさん曲を書いて全部落ちるのが普通です。

その期間が半年、1年と続いてしまうのも普通だと思います。

そんな困難な状況でも曲を書き続けられる『本当に作曲が好きな人』が生きていける職業。

それが『作曲家』という仕事だと思います。

作曲家を目指すならやるべきこと

ーー最後に、作曲家を目指す方がやるべきことやメッセージなどあればお願いします!

成瀬:『歴代オリコン1位の曲をすべて聴く』これは絶対やって欲しい。「プラグインはあれが良いこれが良い」など情報を漁るよりも、

過去の楽曲を聴いて、自分が何を感じるか、なぜヒットしたのかを考える時間を取ってほしい。メロディで食っていきたいならね。

今、流行ってるものを追いかけた時点でもう時代には遅れているわけです。自分が時代を作らないと。

それは歴史からしか、学べない、と僕は思っています。

そして、今が旬な人を追うだけではなく、その人が聴いてきた・影響を受けた音楽を遡って、

どうしたらそこにたどり着くのかを研究することが一番大切です。

遡って研究して曲を作ることでしかオリジナルなものは生まれません。

これから作曲家を目指す方は、5年後・10年後の先を見据えて、創作して欲しいと思います。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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「AKB作家が教える。一年間で有名作曲家事務所を目指すスパルタ予備校」

“既存曲を聴くだけ”で作曲が上達する「MusicViral独自の分析術」を伝授。

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