目次
こんにちわ。MusicViralの編集長-Zです。
みなさんは「マルチデータ・パラデータ」というモノをご存知でしょうか?
今回は作曲家。編曲家がエンジニアさんにデータを渡す為に必要な知識。
「マルチデータ・パラデータ」の作り方についてご紹介しようと思います。
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楽曲がCDプレスされるまでの流れ
まず、楽曲がCDとして世の中に出るまでの流れをおさらいしておきましょう
()はやり取りするデータです。
①楽曲コンペ
↓(発注書)
②作曲家が作曲→採用
↓(メロディー&コード譜、メロディーのmidi)
③編曲家が楽曲をアレンジ(作曲家が編曲までやる場合も)
↓(ステムデータ)
④生楽器の差し替え、レコーディング
↓(マルチデータ・パラデータ)
⑤レコーディングエンジニアがMIX
↓(2MIX)
⑥マスタリング
↓(DAT)
⑦CDプレス
以上がCDプレスまでの流れです
編曲家→レコーディングエンジニアのデータ形式
ステムデータ
ステムデータとは、ライブやレコーディングに使用するデータの書き出し形式です。
・キック
・スネア
・その他ドラム系をまとめた2MIX
・ベース
・ギター(複数ある場合はまとめた2MIX)
・ストリングスをまとめた2MIX
・シンセをまとめた2MIX
ライブやレコーディングで一つ一つの楽器を全部1から音作りしていると時間がかかってしまいます。
そういった理由で以上の用に、ある程度楽器ごとにMIXされた状態でデータを書き出します
大抵データ形式はWavの24bit48khzを使用します。
マルチデータ・パラデータ
全ての楽器をバラバラに書き出したデータを、マルチデータ、もしくはパラデータと呼びます。
編曲家が作ったアレンジデータを、レコーディングエンジニアに受け渡しするような際に使用されます。
マルチデータ、パラデータを用いてエンジニアはMIX作業を行います。
大抵データ形式はWavの24bit48khzを使用します。
今回は以下「パラデータ」という呼び方で統一して解説しようと思います。
パラデータを作る上での注意点
パラデータの精度はアレンジの精度といえます。
パラデータを適当に作っていると、レコーディングエンジニアさんに「あ〜この人適当なアレンジャーだな」と思われてしまい、お互いリスペクトを持った状態で仕事を進める事ができません。
アレンジャーとして舐められてしまわない為にも、しっかりとパラデータの作り方を覚えましょう!
①ドラムなども全て別々のマルチアウトで書き出す!
パラデータ=全ての楽器をバラバラに書き出す事とお伝えしました。
生ドラムなどもキック、スネア、ハイハット…など全て別々で書き出してください!
②モノラル・ステレオを意識する
初心者にありがちなのが「モノラル・ステレオ問題」です。
特に初心者は、モノラル音源のシンセやサンプルがステレオ形式で書き出されている事が非常に多いです。
データ容量的に無駄なので、徹底してモノラル形式で書き出してください。
また、仮に音源自体がステレオ音源であっても、音的にステレオである必要の無いデータはモノラルで書き出しましょう。
(例えばデータ上ステレオだけど、殆どモノラルに聴こえるKickやSnareなど)
モノラルだとデータ容量的にステレオの半分で済みますし、パン情報の扱い等エンジニアさんが扱いやすくなります。
③過剰なエフェクト、空間系は外す
初心者のうちは得に過剰なEQやCompは外して書き出しておきましょう
また基本的にリバーブやディレイ等空間系のエフェクトは特殊な場合を除いてオフにしておきましょう。
更に親切な方法としては「SYNTH_WET」「SYNTH_DRY」のようにエフェクト有り無しでデータを作って渡しておくとエンジニアさんにイメージが伝わりやすいですよ!
上級者になったらエンジニアさんに音作りの意図を伝える為に、ある程度EQやコンプを掛けた状態でデータを渡したりするのもありです。
④トラック数は少なめに!
アレンジの段階の話でもありますが、トラック数は基本的に少なめにしましょう。
目安として(ドラムのマルチアウトなどを含めて)50トラックを超えたら多いと思ってください。
初心者によくありがちなのは、SEだけでトラックが30個もある!!みたいな現象です。笑
別々に書き出す必要が無さそう、また、エンジニアさんが1トラックにまとまってても困らなそうなトラックはある程度まとめて書き出すようにしましょう。
・SEは種類毎に1トラックにまとめる
・ハイハット系は「ループ音源」という扱いで1トラックまとめる
・レイヤーした(複数音色を重ねた)シンセは1トラックにまとめる
以上のようなトラックのまとめ方はありだと思いますよ♪
⑤必ずパンはセンターにする
パンは必ずセンターで書き出ししましょう。
パンが偏った状態で書き出してしまうと、エンジニアさんが非常に扱い辛くなります。
後で記述しますが、ファイル名に希望するパンの位置を記入しておくと良いです♪
⑥書き出しは無音1小節を含めて頭から
まず楽曲を書き出す際には、曲が始まる前に無音部分を1小節作りましょう。
「再生ポイント=曲の始まり」だと曲の始まりにノイズが入ったり、シンセなどの情報が正しく読み込まれない可能性があります。
また、楽器ごとに演奏が始まるタイミングは別々だと思いますが、必ず全楽器「曲の頭から」書き出してください。
それぞれの楽器が、それぞれ始まるポイントから書き出ししたりしないように!
エンジニアさんがデータを読み込んだ時に時系列がバラバラになってしまいます!
⑦音量は小さすぎず、大きすぎずピークを8割に揃える
これも初心者にありがちなんですが…
パラデータの音が小さ過ぎたり、大き過ぎて割れてしまったりしている現象です。
パラデータを書き出す際の適正音量の目安は「最大音量の際にメータが8割」くらいの状態です!
これは音質の為にも必ず厳守しましょう。
パラデータの名前の付け方
続いてパラデータの名前の付け方です。
結構ネーミングセンスでどれくらいのレベルのアレンジャーか分かってしまうことが多いので、気をつけましょう。笑
①ファイル名は分かりやすく、短く
良くありがちなのが、使用しているシンセや音源の名前をファイル名にしてしまう例。
使っているシンセの名前なんて正直エンジニアさんにはどうでも良い情報です。笑
またDAW上で表示できるファイル名は短いことが多いので、極力短いファイル名で内容が伝わるようにしましょう。
■ネーミングの例
・キック→BD
・スネア→SD
・ハイハット→HH
・タム→TOM
・シンバル→CYM
・ベース→Bass
・ギター→Gt
・ピアノ→Pf
・リードシンセ→LD
・プラックシンセ→PL
・パッドシンセ→PD
②ファイル名の最後にパン情報を書いておこう
また、パンニングがある場合はパンニング情報を書いておきましょう。
(例えばハイハットの場合、左ならHH_L、右ならHH_Rのように)
これを書いておかないと「パンニングが思ってたのと違う!!」なんていう事故が起きてしまいます。
出来たパラデータを読み込んでしっかりと最終確認しよう!
レコーディングスタジオで誰しも一回はやらかすんですよ…
・「あれ?あの楽器のデータ入って無くない??」
・「あれ…ここ音が辺になってるよね?」
・「この楽器途中で音が途切れてるよ??」
ディレクターさんやエンジニアさんにこういった指摘を受けると大分現場がピリつきます。笑
出来たパラデータは一度自分でDAWに読み込んで1つ1つ確認作業をしましょう。
本当データミスをやらかすと現場が凍り付きます。笑
パラデータはProtoolsのセッション納品がオススメ!
ここまでパラデータの解説を進めてきました。
ではパラデータはどうやってエンジニアさんにお渡しすれば良いのでしょうか?
パラデータの納品方法として主流なのは、パラデータWAVを直接エンジニアさんにお渡しする方法です。
ですが、僕がおすすめする方法は別でして…
パラデータをレコーディングスタジオの標準ソフト「Protools」のセッション化して、エンジニアさんにお渡しする方法です。
①意図が伝わりやすい
Protoolsのセッションであれば、自分で音量バランスやパンニングを指定する事が出来るため、エンジニアさんに意図が伝わりやすいです。
また、トラック毎にコメントなども書けるので、要望があればコメントに書いておくと便利ですよ!
②エンジニアさんが楽
エンジニアさんにとって、パラデータを読み込んだり、並べ替えたりする作業って結構手間だと思うんです。
アレンジャーさんがセッション化してくれていると、エンジニアさん的にも嬉しいと思いますよ!
まとめ
今回は「【マルチデータ】プロ仕様のパラデータを作成するポイント」でしたー!
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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